皆様、お待たせいたしました!人呼んで「アナハイムエレクトロニクス」ことバンダイ静岡工場を訪問して、担当の方にまたまたインタビューして参りました!
今回は「通常版」とお得なボーナスパーツ付きの「イグニッションモード」の2バージョンが7月に発売されて話題を呼んだ「MGガンダムエクシア」について、ホビー事業部の西澤さんにお話をタップリ伺って来ました!
「MGガンダムエクシア編」は前後編の2回に分けてお送りします。 |
● 担当者インタビュー@バンダイ静岡ホビーセンター 2009年8月6日(木)
バンダイご担当/ホビー事業部 企画開発チーム 西澤さん
◆MGでガンダムエクシアを出す
――それでは、今回初めてインタビューさせて頂きますが、どうぞ宜しくお願いします!まずは早速ですが、MGでガンダムエクシアを出す事に決定した経緯を教えて下さい。
西澤氏(以下、敬称略): 昨年末、ガンダム00のシリーズのHGの開発が一通り終わった時に、次へのステップアップとして何をMG化しようかと検討した結果、ガンダムエクシアに決まりました。
――ダブルオーガンダムなど、他のガンダムも検討されたのですか?
西澤: MGでガンダム00シリーズをを初めて出すという事で、選択肢としてはガンダムエクシアしかなかった感じです(笑)。
ダブルオーガンダムは後半のものですから、シリーズ全体を考えたときに最初のガンダムという事でガンダムエクシアが選ばれました。
その時既にホビー事業部からはプラモデルのFGや1/144スケール、完成品のHCM-Pro、SHCM-Proなどのガンダムエクシアも発売されていたので、それらの技術はすべてこのMGに生かされています。過去の商品の良かった点をこのMGは取り込んでいるんです。
もちろんMGに限らず、商品が出るたびに、以前に出た商品をどうにか超えようとデザイナーの海老川さん(ガンダム00 メカデザイナー 海老川兼武氏)と反省会をします。「1/144では差し替えだった部分を、SHCM-Proでは差し替えなしでやりたい」「MGではSHCM-Proを更に超えたい」という感じで。以前の商品のどこを超えられるか考えるのは苦労した部分でもあります。
――こうやって並べてみると、プロポーションも変化していっていますね。
西澤:商品が出るたびに行われるそのミーティングの中で、以前の商品の良い所を吸収して「もっとこうしたらどうか」という案を海老川さんと出して、それを検討して反映しています。3月にSHCM-Proを出してから、そのように検討を積み重ねてこの形になりました。
――MGは他のシリーズに比べて、下半身がガッシリしていますね。
西澤: これはSHCM-Proで新しくプロポーションを取り直した点を取り入れています。SHCM-Proの時に、あれだけ動かそうとすると体のバランスを変えなければいけなかったんです。格好良さと可動の強度を両立させる為に考えた結果です。
――並べてみると、どれも少しずつバランスが違いますね。
西澤: スケールに合わせたバランスのノウハウの積み重ねがあるんです。例えばこのHCM-Proのエクシアは、1/200というサイズでのバランスの為に、少し肩を大きくする事で最もカッコ良く見えるように調整しています。
――ミニカーのバランスの取り方と近いかも知れませんね。ミニカーもスケールによってボンネットの長さの比率を変えたりして、カッコよく見えるようにしているんですよね。ビルの上から本物を見てみたら、意外とミニカー程カッコよくなかった、なんて。
西澤: それに近い感覚ですね。スケールごとのベストなバランスを考えて開発しています。
――デザイナーの海老川さんの最新のアイデアが反映されていると言う事は、今度の映画にもこのMGで使われたプロポーションが反映されたりするんでしょうか。
西澤: あくまでもこのプロポーションはMGとしてのガンダムエクシアですからね。アニメはアニメなりのアレンジ方法が存在しますし、プラモデルはプラモデルなりの進化の方向やアレンジの方向があると思います。
多少は影響を受けたりする事があるかも知れませんが、このプロポーションに大きく傾注する事はないと思いますよ。
◆他シリーズの技術の結集「MGガンダムエクシア」
――既に発売されている商品と共通のギミックの部分があるかと思いますが、参考にされたりしていますか。
西澤: 参考にしている部分は多いですね。ですが、リアリティーを追及していくと結果的に一緒になる、という部分もあります。一例ですが、「動いた時に外れない」とか「自由に角度を決められる」等を考えた場合、突き詰めていくとSHCM-Proと共通のこの作り方になる、という風に。
――後から発売される商品が前の商品を参考にするという流れば以前から部内にあるんですか?
西澤: もちろんあります。以前作ったものを参考にするというのは、時間や予算など、ある一定の条件の中で良いものを作らなければいけない状況で、大きな助けになります。
――前の商品の担当者が次の商品の会議に呼ばれたりするんですか?
西澤: 会議に呼ぶという事はないんですが、やっぱり担当レベルで、「ここはどういう風に考えてどういう風に作ったの?」というやり取りはありますね。開発担当、設計担当同士、いい意味でお互いに影響し合っています。
――そういうやり取りは、開発チームが別であっても行われるんですか?
西澤: はい。例えば、SHCM-ProとMGは違うチームで開発していました。完成品であるSHCM-Proとお客様が組み立てるプラモデルの商品ではアプローチの仕方が違いますので。
完成品というのは、工場で間違いなく組み立てられれば、ある意味組み立て方法の中身は問われないんです。それよりも動きの表現力などがお客様にとって重要な部分ですから。そういう点が違ってくるので、例えばSHCM-Proをプラモデルにしたら組み立て方の点で商品化の段階でNGが出る部分があると思いますね。例えば、組み立てが難し過ぎるとかパーツが細かすぎるとか…。
――そういうのって自社基準のようなものがあるんですか?
西澤: プラモデルに関してはあります。例えばパーツのシャープさなどです。だからSHCM-Proの方がエッジが鋭かったりするんです。
特にHGとSHCM-Proを比べて頂ければお分かり頂けると思います。この二つは同じサイズなんですが、鋭さや細かさが違います。8歳以下のお客様も含めて対応させて頂いている商品と15歳以上の方を対象にしている商品の設計条件の違いです。もちろん玩具業界の安全基準(ST)もありますし。

HGやMG、HCM-Pro等、シリーズを分けてご提供しているというのは、組立ての難易度や仕上がりの表現力でそのシリーズが目指しているものが違うからなんです。
例えば、HGだとキャラクターフィギュア的なコンセプトである事が多いんですが、MGはメカ表現やリアリティを重視して、ガンダムの設定に「いかにリアル感を付加していくか」を目指しています。
SHCM-Proのガンダムエクシアに関しては「最高級セット」というコンセプトだったので、質感や完成品としての塗装表現を重視していました。マーキングをかなり細かく入れていたりもしていますね。
――色の付け方も違いますよね。HGは他のシリーズに比べて明るいとか。
西澤: HGはアニメの印象を大事にしています。対してHCM-Proは小さいけれども精度が高い事を重要視していたので、モノとしての重厚感を出すために色をワントーン暗くしたりしています。もちろんそれは版元さんにもご説明して、ご理解頂いているんですよ。
MGもアニメというよりは、よりデザイナーの海老川さんの原稿に近い、深い色味を採用しています。
――話は横道に逸れてしまいますが、商品のクオリティーを追求していくと、どんどん上のグレードに近づいていってしまいますよね?HGは更にハイクオリティーになってMGに近づいて、更に上へ上へって…。グレード分けをするというのは、どういう風に行っているのでしょうか。
西澤: 確かにそうなってしまいますが、シリーズとしてそこはバランスを取って行くべき所です。商品の進化の為にやりたい事を全部盛り込んでしまったら、価格も難易度も上がってしまい、シリーズとしてのバランスがおかしくなってしまいます。
もちろん、技術の革新によって可能になった事や、盛り込むことで価格や難易度がが変わらないものは積極的に取り入れていきます。ですが、ギミックは上がるけれど値段も上がる、難易度も上がる、という風にならないように開発の方でバランスを取っているんです。
つまり、お互いの距離感は変わらず、グレードの中でよりよい方向を積み上げているんですよ。
例を挙げると、動きに特化させる代償として省略せざるを得ない部分が出て来ることもあります。トータルバランスを考えた時に、そのグレードの基準の中にいるから「MG」であったり「HG」である、という事なのです。
◆00の世界観でGN粒子、GNドライブは絶対的な存在
――胸や足にあるGNドライブやGN粒子のコンデンサとして使われている、透明な部分の色や明るさもシリーズによって結構違いますよね。これはどういう風に決めたんですか?

西澤: この色の違いは「表現方法」と「状態」の違いです。HGでは「レンズ」的な所まで表現したい、SHCM-Proはそれが発光している状態にしたい、MGだとレンズが本当に入っているように見えつつ、中に刻まれた文字がレンズに浮かび上がる効果を狙っています。SHCM-ProとMGの表現の仕方は近くて、「いかにレンズが本物のように見えるか、精密に見えるか」を重視しています。
MGではレンズ部分をを二重構造にする事によって、本当に光が集まって反射して見えるようになっています。
――暗くて読みにくいですが小さく文字も入っていますね。

西澤: 今回イグニッションモードで実際に光るのは胸の部分だけなのですが、「文字がレンズに映し出される前の状態はこういう感じだよ」という事を胸以外の部分では表現しています。
――イグニッションモードの話になりますが、GNドライブが光る仕様にしたのは何故ですか?
西澤: 00の世界観ではGN粒子・GNドライブというものが根本かつ絶対的な存在なので、その演出は絶対に必要だと思いました。
――LEDを前と後で2個付けたのは?
西澤: 1個だと光量が足りなくて背中と胸側との両方を光らせるのが難しかったというのと、2個使って背中と胸に同時に光を当てた方がGNドライブ自体の面白い表現ができるのではないかと思ったからなんです。
――その辺りの開発は大変でしたか?
西澤: ライトユニットに照らされる側の表現が難しかったですね。丁度良い光り具合とか…。
最初の試作では胸側のLEDにスモークが入っていなくて、浮き出る文字が明るすぎて読めないという事もありました。胸側と背中側のLEDの光を受けるクリアパーツの形状の違いも、片方は光が真っすぐ飛んで、片方は分散するように検討した結果です。

内側のシールの形状やレンズの色も相当試しました。最初は透明で検討していたのですが、点灯している時としていないときの両方で上手く色が出るように色々試して、この色に決めさせて頂きました。今の状態は、色々な試行錯誤の結果なんです。

――同じくLEDが入っている「1/100スケールモデル ダブルオーガンダム」とLEDユニットは共通なんですか?
西澤: いえ…実は大きさが違うんです。その為に、使用している電池が違います。
――あ!そういえば…1/100は薄くて大きいボタン電池(CR1220×2個)でしたね。こちらは厚みがあって径の小さいもの(LR41×2個)ですね。
西澤: デザインを考えた時、1/100の方はどれだけ薄いLEDユニットにできるかが第一優先でした。MGのLEDユニットでは更に汎用性の高い電池を使うという事を考えていました。
――確かにCR1220(薄くて大きいボタン電池)ってあまりコンビニで売ってないような気がしますね(笑)
西澤: はい。MGでは「電池がコンビニで気軽に買える」という事も重視した部分ではあります(笑)。
――GNドライブを「光るユニット」にする事で、既に発売されているシリーズとはデザインが変わっていたりするんですか。
西澤: GNドライブの基本的なデザインは変わっていません。元々GNドライブは外れるという設定がありましたから。ただ、外れた時の本体側のフレームやGNドライブの内側のモールドは、MGとしての設定と言う事で、海老川さんに描き起こして頂きました。「胸にライトユニット付のGNドライブを入れるとすると、実際にこういう風にしないといけない」というのを実際の商品のサイズも考えた上でMG用に設定して頂いています。
――そういえば、GNドライブのユニットだけアンダーゲートの仕様になっているのはなぜですか?

西澤: 一番は精度の問題です。もし他のパーツと同じ仕様にしていたら、ランナーから切り離した部分の処理を精密にしないと、内部に引っかかって取り出せなくなってしまう可能性があるんです。ですのでこの部分だけはアンダーゲートを採用しました。
<MG エクシア 開発者インタビュー(後編)はこちら>
●コラムコーナー●
知りたい・聞きたい・あんな事やこんな事!インタビューのついでに気になる事を聞いてみました!
◆色々な素材で作られているプラモデルのランナー。その中でも、ABS素材のランナーに小さな矢印マークがあるのはどうしてですか?
ホビーセンターの人間の中にも気づいていない者がいるんですが(笑)これは、分別のためです。将来的にABSの再生をするために、素材識別用の三角印を付けています。実は一年前からこの印は付いているんですよ。 気づいていらっしゃいましたか?

◆ランナーの回収や再生って行われているんですか?
ホビーセンター内の廃棄物では行っています。みなさんご存知の「エコプラ」として再生されたりしているんですよ。もちろん工場の中だけでなくオフィスの中でも行っています。素材別に分けて、工場に持っていって再生に利用したりしています。工場に持って行く前には間違って捨てたりしていないか、細かく分別チェックもしているんですよ。「あ、PVCとABSを一緒に捨ててる!分けて、分けて!」みたいに(笑)
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